2012年05月21日

「船に乗れ!」  藤谷治  ポプラ社

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草加店文芸書担当 オススメ本

「船に乗れ!@〜B」  藤谷治  ポプラ社

音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセント超の青春音楽小説。

全三巻構成の青春音楽小説です。
大人になった主人公が当時を振り返るという形式で、1巻で1年次、2巻で2年次、3巻で3年次の事を語っていきます。
1巻だけでも青春小説としてはよく出来ていると思いますが、この小説のスゴイところは2巻以降。
なにもそこまで・・・というほどの苦難と挫折が主人公を襲います。
普通ならそれを乗り越えハッピーエンドというのが青春小説の王道ですが、本作ではその限りではありません。
スポーツや芸術で成功できるのは限られた人だけ、恋は成就するとは限らない、という現実を突き付けられた主人公の心情描写が巧みで2,3巻はまとめて一晩で読んでしまうほど引き込まれてしまいました。

3巻構成で文量がありますし、2巻の喪失、悲壮感がすごいので読む人を選ぶかもしれません。
しかし、響く人には衝撃を与える作品です。


posted by 竹島書店員 at 10:31| Comment(0) | 【文芸作品】