2014年10月22日

ルナ・ゲートの彼方

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「ルナ・ゲートの彼方」ロバート・A・ハインライン 
 東京創元社 創元推理文庫 978-4-488-61809-4 税込864円
恒星間ゲートの開発により、人類は遥か遠くの惑星を次々植民地化していた。開拓に携わるエリートになるためには、10代のうちに「上級サバイバルテスト」をクリアしなければならない。各地から選抜された少年少女たちは、ゲートによって未知の惑星に送り出され、期間も不明な生存試験に挑むが、
何日経過しても帰路のゲートが開かず、島流し状態となる。果たして彼らは再び故郷に還ることができるのか・・巨匠ハインラインの傑作ジュブナイルSF。

ジュブナイルってティーンズ向けの小説じゃ・・・?と思わず辞書で意味を確認してしまったほど容赦のないお話です。
少年少女が力を合わせて困難に立ち向かう姿を描いているという意味では、まあティーンズ向けというか、青春小説っぽくはありますが・・・圧倒的なリーダビリティにグイグイ読まされているあいだ(本当におもしろくてあっという間に読み終えてしまいます)はあまり感じませんでしたが、日本のお子様に言ったら失禁するようなシビアなことを全編に渡って言ってますよ。
極端に言えば、「自力で生きられない奴は生きるに値しない」というか・・いや、そこまで言ってないか。でもそれに近いものを感じましたね。
選抜されたエリートだから当然といえば当然ですが、出てくる子供達はみんな高い水準の才能の持ち主で、普通だったらゴールディングの「蠅の王」みたいに原始人に逆戻りするところを、紆余曲折ありながらもしっかりした共同体を作り上げ、政府まで作ってしまうんだから凄い。ハインラインの理想のティーン像なんでしょうか?自分なんか、こんな環境におっぽり出されたら何歳の時だろうがマイクロ秒で死にますよ!
そして最後には、読んだ人ならわかる衝撃の結末が待っているんですが・・・
人によっては「え〜〜・・・(溜息)」と言いたくなるかもしれません。
確かにまあ・・・ショッキングですが、よく読み返すと序盤である人物がこの展開を暗示するようなことを言ってましたよ。
あんまり言うとネタばれになりますので言えませんが、一見ちゃぶ台返しのような展開ですがハインラインがこの小説で言いたいことはしょっぱなから変わってないということなんじゃないかと思います。
posted by 竹島書店員 at 21:08| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ

2014年10月21日

出版禁止

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「出版禁止」長江俊和 新潮社 税込1,944円 978-4-10-336171-8

深夜にひっそりと放映され、カルト的な人気を獲得した伝説のフェイクドキュメンタリー「放送禁止」シリーズを手がけた長江俊和による、初の長編ミステリ。タイトルからも分かるように活字版「放送禁止」とでもいうべき内容になっています。

「放送禁止」では諸事情により放映を自粛したビデオテープを公開するという設定でしたが、
本書では封印されたルポライターの手記。あちこちに散りばめられたヒントを読み解くと、表面上は語られない裏の真相が浮かび上がる・・・という仕掛けは共通してます。
ただし、本書の場合は後半にある程度の謎の解決があります。その上で更に裏の真相があるのですが・・・個人的にはいくつか謎が残っているので、ヒントをいくつか見落としてるのかもしれません。

毎度恒例(?)のアナグラムも健在です。本書のソレは分かった瞬間背筋が寒くなる凶悪さですが、
なんでわざわざアナグラムに・・・という気もします。もしかしてその必然性が鍵のひとつなのかも・・うーん。とまあこんな風に読み終わった後でも色々考えてしまうのが「禁止」シリーズの醍醐味と言えましょう。

放送禁止を観たことがない人で、本書を読んで面白いと感じた人はすぐさまレンタルビデオ屋さんに行きましょう!本書以上の不気味で謎に満ちた世界があなたを待っています。
posted by 竹島書店員 at 12:32| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ