2015年01月30日

ピルグリム

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「ピルグリム」1〜3巻 テリー・ヘイズ
 早川書房 ハヤカワ文庫NV 税込各929円  2014年8月〜9月刊行
978-4-15-041311-8  978-4-15-041312-5  978-4-15-041313-2

かつてアメリカの極秘機関を統率し、10万人におよぶ自国の諜報員を監視してきた“私”は、911の同時多発テロの影響により職を退き、身を隠してひっそりと暮らしていた。しかし、ある殺人事件の捜査協力をきっかけに政府に存在が露見、超極秘ミッションへの協力を要請される。それは、イスラエルのテロリスト”サラセン“が単独で立案した米本土への大規模バイオテロの阻止。失敗すれば、アメリカは死の国となる・・・
新しいコードネーム”ピルグリム“を与えられた”私“は、サラセンの居場所を突き止めるべく少ない手がかりを必死に辿るが、予想される決行日は刻一刻と迫る。状況打開のため、”私”は乾坤一擲の賭けに打って出た!
伝説のエージェントVS史上最悪のテロリスト。闇に生きる男たちの死闘を壮大なスケールで描いた超大作!!
このミステリーがすごい!2014年海外編第4位!

いやー、めちゃくちゃ面白かった!作者のテリー・ヘイズはこれが小説デビュー作とのことですが、なんですかこの完成度は!・・・と思ったら全くの新人ではなく、もともと脚本家として長いキャリアのある人。それどころか!なんと!あの観ないと人生の単位を落とすとまで言われた漢の必修科目映画「マッドマックス2」の脚本を書いた人ですよ!あの大名作のシナリオ書いた人が今度はこんな面白い小説を書くとは!才能って不公平ですね・・・今年の夏、「マッドマックス」新作が公開予定ですが今回はテリーさん、参加していないようです。ちょっと残念です。

この本に関してはもう読んでほしいとしか言えません。これ以上中身をバラすのはもったいないからです。どうやら続編も予定されているようですが、ただでさえ壮大なスケールだった本書を超えるものができるのかちょっと不安・・・でも、楽しみに待ちたいと思います!

posted by 竹島書店員 at 17:50| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ

2014年12月20日

その女アレックス

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「その女アレックス」ピエール・ルメートル
 文芸春秋 文春文庫  978-4-16-790196-7 税込918円 2014年9月刊行

買い物の帰り道、突如として拉致され、監禁された女性。身動きもままならない狭い檻に閉じ込められ、食物も与えられず、徐々に衰弱してゆく彼女を不気味に凝視する飢えたネズミの群れ。
死を目前にした彼女を支えるのは、たったひとつの想いだけ。
“わたしにはまだやらなければならないことがある”─彼女の名はアレックス。
“このミス、週刊文春、早川書房、IN☆POCKET 1位全制覇。今年最高の話題作!”(本書帯より)

拉致監禁された女性を救え!「特捜部Q 檻の中の女」を彷彿とさせるシチュエーションではじまる本書。ところが!ここから物語は二転三転、そのたびに世界の見え方がガラッと反転するような展開を見せます!これだけ予想を裏切っていく物語もなかなかないですよ!「こうきたら次はこうなるだろう」っていうサスペンスの定型が巧みにずらされる!その結果どうなるか?まず唖然としますよね。その後より強烈なサスペンスが襲ってくるわけですよ!サスペン過ぎ!
内容についてはこれ以上語れないので、登場人物について少し・・・アレックスは別格として、事件を追う捜査陣がいい!145センチの低身長でハゲというロースペックなルックスながら、すこぶる頭が切れるヴェルーヴェン警部、対照的に巨漢で百官デブの上司ル・グエン、若くて金持ちのイケメン刑事というこち亀の中川巡査みたいなルイ、正反対に貧相で超ドケチなアルマンという凸凹コンビ2組。マンガみたいな4人組ですが、こいつらがまたイイ奴らなんですよ!鬼畜のような所業がこれでもかと描かれる物語のなかで、彼らのアツい正義感と人情が暗くなりがちな雰囲気を救ってくれています。

まあこれは言ってもいいと思うんですが、どうあがいてもラストで泣きます。あがくだけ無駄ですよ・・・といっても巷にあふれ返る激安なお涙頂戴ものと一緒にしちゃいけませんよ!この本で泣くのはなんら恥ではない。むしろ泣けなかったら恥じるべき!!あと、最低2回は読んだほうがいいんじゃないですか?真相がわかってから再読すると、一度読んだ場面がまた違った意味合いで見えてきますよ・・・というか、まず一回読んでください!早く!
posted by 竹島書店員 at 15:20| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ

監視機構 サザーン・リーチA

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「監視機構 サザーン・リーチA」ジェフ・ヴァンダミア
早川書房 ハヤカワ文庫NV 978-4-15-041323-1 税込1,188円

映画化も決定、超大型エンタテインメント「サザーン・リーチ」3部作、待望の第2部!
謎の領域「エリアX」を探索する調査隊を襲う未曽有の恐怖を描いた前作。第2部では舞台をエリアXの外縁に位置する“監視機構”の拠点に移して前作の続きが語られます。エリアXに関する調査を一手に担うこの組織、前作では特務機関ネルフかゼーレのような謎めいた存在感を放っていましたが・・・本書で明らかになった実態は、実りのない調査に疲弊し切った窓際組織というなんとも冴えないもの。主人公の管理官、通称“コントロール”は組織の掌握と事態収拾に必死ですが、やたら反抗的な部下や壊れかけた科学者たちを全くコントロールできない有様。ほとんど不条理系コメディのような展開が延々続きますが、その下で異様な空気が重奏低音のように流れていて、デヴィッド・リンチの映画を観ているような気分になります。
そんなドタバタ劇の合い間に不穏な気配が徐々に高まっていきます。終盤、いきなりの衝撃的展開(本当にいきなりでビックリ)ともに世界スケールで勃発する壮大なカタストロフィは見ものです。この展開、第一部から読んできた人なら、ある種の爽快感すら覚えるんじゃないでしょうか。
第三部ではいったいどんな世界が読者を待ち受けているのか。2015年1月発売予定の完結巻が楽しみです!
posted by 竹島書店員 at 15:13| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ