2014年12月20日

監視機構 サザーン・リーチA

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「監視機構 サザーン・リーチA」ジェフ・ヴァンダミア
早川書房 ハヤカワ文庫NV 978-4-15-041323-1 税込1,188円

映画化も決定、超大型エンタテインメント「サザーン・リーチ」3部作、待望の第2部!
謎の領域「エリアX」を探索する調査隊を襲う未曽有の恐怖を描いた前作。第2部では舞台をエリアXの外縁に位置する“監視機構”の拠点に移して前作の続きが語られます。エリアXに関する調査を一手に担うこの組織、前作では特務機関ネルフかゼーレのような謎めいた存在感を放っていましたが・・・本書で明らかになった実態は、実りのない調査に疲弊し切った窓際組織というなんとも冴えないもの。主人公の管理官、通称“コントロール”は組織の掌握と事態収拾に必死ですが、やたら反抗的な部下や壊れかけた科学者たちを全くコントロールできない有様。ほとんど不条理系コメディのような展開が延々続きますが、その下で異様な空気が重奏低音のように流れていて、デヴィッド・リンチの映画を観ているような気分になります。
そんなドタバタ劇の合い間に不穏な気配が徐々に高まっていきます。終盤、いきなりの衝撃的展開(本当にいきなりでビックリ)ともに世界スケールで勃発する壮大なカタストロフィは見ものです。この展開、第一部から読んできた人なら、ある種の爽快感すら覚えるんじゃないでしょうか。
第三部ではいったいどんな世界が読者を待ち受けているのか。2015年1月発売予定の完結巻が楽しみです!
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posted by 竹島書店員 at 15:13| Comment(0) | 八潮店 文芸書担当のおすすめ

ハローサマー、グッドバイ」マイクル・コーニイ

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「ハローサマー、グッドバイ」マイクル・コーニイ」
 河出書房新社 河出文庫 978-4-309-46308-7 税込918円 2008年7月刊行

戦争の影が忍び寄る小さな港町で、政府高官の息子と宿屋の娘が恋に落ちた。ひと夏を共に過ごし、幼いふたりは愛を誓い合う。すぐそこに破局が待っているとも知らずに・・・。隠蔽された世界の秘密が明かされるとき、夏は終わる。ラスト数ページの驚愕のドンデン返し!SF史上屈指の青春恋愛小説と謳われた名作!

甘酸っぱい恋愛小説であり戦争を描いてもいて、世界の謎を解くミステリでもある。そしてもちろんSFでもあるという、ひとくちではカテゴライズできない作品なのですが、あえて!もろもろバッサリ切り捨てて一言で表現するならば・・・「すごいラノベ」ということになりますか!いや、ラノベをよく知らないで言ってますけども!主人公の少年は年の頃14〜5歳、年相応にガキっぽいわりに自分を一人前だと思っていて、大半の人間を小馬鹿にしているというちょっと嫌なヤツ。・・・そんなヤツがですよ・・・デレデレとツンデレのダブルヒロインに理由もなくモテまくるんですよ!これってラノベじゃないですか?うらやま・・・いや、非常にけしからんですね。「さわやか」と評されることが多い本書ですが、こんなのは断じてさわやかではない!・・・最初読んだとき「ジブリが映画化しそうなストーリーだなあ」と思いましたが、理想化された少年少女ばっかり出てくるジブリ映画にはこの主人公は向いていませんね。いや、これはけなしているわけじゃなくて、思春期にさしかかった男子のいけすかない感じを非常にリアルに表現しているという、褒め言葉です!ジブリのほうがありえない。他にも自己中な人間がいっぱい出てきますが、描き方が非常に上手いですね。
前半のベタ甘恋愛パートと打って変わって、後半は急展開が続き、いくつもの衝撃の事実が明らかになります。このあたりは本当にページをめくるのももどかしいというクリシェがぴったり。牧歌的な描写が多かった分、終盤のシリアスさは余計ズシンときます。そして語り草となったラストのドンデン返しにいたるわけですが・・・これ、一発でスッと納得した人はいるのでしょうか?確かに伏線は細かく張られています。多くの人が気にも止めないようなところに堂々とヒントが出ていて、再読時にビックリしました。しかし一番大きなピースが欠けているので、どうにでも解釈できてしまう気がするんですが・・・答えは読者の受け取りかたしだいということでしょうか。
と書きましたが、実は!本書には続編があります(「パラークシの記憶」河出文庫)本書からだいぶ経ってから発表されたこの続編。これを読むと本書の読後に残るモヤモヤ感がスッキリ解消しますよ!解消というか・・・なんというか・・・個人的には1作目よりはるかに面白かったのですが、1作目を読んで素直に感動した人にはちょっとおすすめできないような・・・なぜかというと、続編自体、本書の豪快なドンデン返しになっているからです。それはもう凄いちゃぶ台返しですよ。SFを読む醍醐味は、まさにこういうところにあるわけですが・・・そういうわけで、本書の読後感を大切にしたい方は続編を読むのはやめたほうがいいかもしれませんよ!
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ハルさん   

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『ハルさん』  藤野恵美
東京創元社  ISBN978-4-488-41411-5


娘のふうちゃんの結婚式に向かう途中、娘との思い出を思い返す父親ハルさん。
それはハルさんとふうちゃんの身近に起こった5つの事件の記憶だった。
プロローグ+5章+エピローグで構成される本書、娘のふうちゃんが幼稚園、小学生、中学生、高校生、大学生の時に起こった事件について本章で描かれています。
読み進めるうちに父親のハルさんにどんどん感情移入してしまい、またふうちゃんの成長を見守る中でエピローグの結婚式では『あんなに小さかったふうちゃんが結婚なんて、嬉しいような寂しいような・・・・』とまさに父親気分になってしまいました。

事件については「日常の謎」にカテゴライズされるもので探偵役はハルさんなのですが、本書の特徴として亡くなった妻の瑠璃子さんがハルさんに事件のヒントを教えてくれます。
幽霊としてとか、声だけが聞こえてくるという設定の説明も無しに普通に会話し始めるので最初は面食らいますが、亡くなってからも娘を思う瑠璃子さんと妻の事を決して忘れないハルさんの優しさについうるっときてしまいました。

登場人物に悪い人が一人もでてこず、安心して読める一冊です。
最後の結婚式のスピーチにはとにかく感動します!!
娘を持つ父親の方にはぜひ読んでほしいです!!
posted by 竹島書店員 at 15:02| Comment(0) | 草加店 文芸書 おすすめの本